● 整体を受けるようになってから、自分の体とうまく付き合えるようになりました。
【症状・ 状態】
背中の痛みから来る呼吸困難、更年期障害(生理不順、疲労・倦怠感、冷えなど)、肩こり、腰痛、風邪が治りにくい
医師である私が整体に通うようになったのは、今から6年前、平成11年(1999年)の
12月はじめのことでした。
ちょうど、その2~3年前から更年期障害、特に生理不順に悩まされていました。
生理の周期が乱れ、出血が2週間も続いたこともあったのです。そうしたところに、夏と冬に
ひどい呼吸困難が起こったのです。息ができず、死ぬかと思われるほどの苦しさに見舞われた
私は、「もう限界」とばかりに総合病院の救急科に駆け込みました。しかし、そこでは診断が
つかなかったようです。担当医師からは「あなたも医者なのだから、自分で診断してください」と
言われる始末です。わき腹にも痛みを感じたので胆石を疑いましたが、検査の結果は「異常なし」。
このような場合、病名は「肋間神経痛」となりますが、なぜ起こったのか、原因などはっきりしたことは
わかりません。今になってみれば、更年期障害と何らかの関係があると思えるのですが、
当時自分の中ではまったく別個の症状と捉えていたのです。
さて、西洋医学の裏側を知っていた私は、生理不順で出血が続いていた頃から、化学的に
調合した薬を使わず、なるべく体に負担のかからない治療を探していました。まず、試したのは漢方薬です。
生理不順で出血が続いたとき、婦人科では止血剤を処方され、ホルモン療法を勧められました。
しかし、止血剤は体に負担がかかりますし、ホルモン療法はひどい副作用があることを知っていたので、
西洋医学の治療法はやめて、漢方薬を服用してみたのです。もちろん、漢方薬の知識など医学教育に
組み込まれていませんから、まったくの独学です。結果は、たしかに飲んで何日か経てばよくなりましたが、
はかばかしい効果は得られませんでした。1年ぐらい続けてみたのですが、同じことの繰り返しだったので、
他の方法を探そうと思いました。ただし、他にどんな方法があるのか、十分な知識も無かったのですが、
とりあえず開いた電話帳の一番上にあった番号が健幸クラブ&整体院だったのです。
佐藤院長によると、私の背骨は「頚椎6番と7番、胸椎の3番、4番、5番、6番が曲がっている」との
ことで、「かなりひどい状態」だったのだそうです。そう言われて、何年か前、整形外科で撮った
レントゲン写真のことを思い出しました。たしかに、頚椎6番、7番辺りが妙に縮んでいたので、自分でも
とても驚いたのですが、西洋医学では背骨の歪みが病気を引き起こすとは考えないので、
そのままにしておいたのです。しかし、今の症状は頚椎や胸椎の歪みが原因であり、脊髄神経が
個々の臓器につながっている図を見せられたとき、すべてが納得できたのです。
そうして何回か通っていくうちに、だんだんと効果が現れてきました。もちろん、今でもあちこち
悪いところはあるので通ってはいるのですが、きっかけとなった呼吸困難は整体を受けて以来、
まったく起こらなくなりました。通院も最初の頃は週2~3回でしたが、今では週1回にまで減りました。
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このように、医師である私が患者となって整体院へ通うようになったわけですが、改めて健康、
西洋医学について考えるようになりました。特に、西洋医学には限界があることを身をもって痛感しています。
西洋医学は切れ味はいいのですが、検査にしろ薬にしろ、体に大きな負担をかけるので、
体に優しい治療法ではありません。
例えば、検査を考えてみてください。胃がん検診でバリウム検査の後、「要再検査」の通知が来て、
さらに胃カメラを飲んで苦しい思いをした人はたくさんいると思います。胃カメラを飲むこと自体の
苦しさもありますが、検査の結果が出るまでの期間、不安に襲われ、あれこれ悩むのも大きな
ストレスになります。
そんなとき、医師が優しく言葉をかけてくれ、丁寧にわかりやすく説明してくれればいいのですが、
診療時間は3分もありません。しかも最近ではカルテはパソコン入力となりましたから、患者の顔を
見ずにパソコンの画面を覗きこんでいる医師も珍しくないのです。特に、患者はいつも不安を抱えています。
とにかく不安だから、医師にはいろいろ訴えたいのに、ロクに話を聞いてくれず、1、2分の診療で
終わりとなれば、患者のストレスは増えるばかりです。
しかし、医師のほうも患者に意地悪をしようとして1、2分で診療を終えてしまうのではないのです。
あまりにたくさんの患者がいるので、そのくらいで切り上げないと終わらないのです。私自身、
検診で午前中3時間で100人の患者を診たことがありますが、最後のほうはクタクタに疲れきって
しまったので、患者としゃべる余裕などまったくありませんでした。医師も疲れているのです。
薬についても、たしかに化学的に合成された薬物は一時的によく効きます。ただし、効くということは、
副作用もあるということです。よく「毒にも薬にもならない」と言われますが、毒にならなければ体には
効きません。ですから、何年もたくさんの薬を服用するとなれば、体にとって大きなストレスとなるのです。
私自身、小学校高学年の頃、風邪薬の副作用がもとで生死の境をさまよったことがありました。
専門的には、「皮膚粘膜眼症候群」という名前で、熱や頭痛、関節痛とともに、眼や鼻、口、
陰部など体の粘膜に病変が起こるものです。幸い命はとりとめましたが、その後5~6年間経っても
完全に治らなかったため、安静に暮らさなければなりませんでした。
このように、西洋医学にも限界があるのですから、あまりに薬や検査に頼るのは考えものです。
病気の種類にもよりますが、肩こりや腰痛、頭痛などはっきり原因がわからないものについては、
なるべく体に優しい方法を選ぶことをお勧めします。
最後に、私自身、整体に通うようになって、自分自身がどのように体を使ってきたのか振り返る
ことができるようになりましたし、自分の体との付き合い方もうまくなったような気がしています。
ちょうど生理不順に悩まされる前は主人の母の具合が悪くなったり、実家のことで目が回るほどの
忙しさでした。もっとも、仕事と家事、育児でいつも忙しくしていましたし、すべてにのめりこんでしまう
性格なので、無理に無理を重ねてきました。性格はすぐに変えることはできませんが、自分の体の
付き合い方がわかっていれば、健康への道は開けてくるのではないかと思います。
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